※タイトルに「★」のついた記事は、休職経験をまとめた記事です。
そのほかのまとめ記事は、『★ 休職まとめ ★』カテゴリ一覧 からどうぞ。
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心身の調子を崩して
会社を休職する・・・
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昨今あまり珍しくないことだと思います。
今やメンタル関連の情報は、隠したり恥じたりする必要のない、ごくごく ”日常的” に触れるコンテンツになりました。(むしろ情報過多とさえ言える状況かもしれません。)
しかし、いざ自分が当事者になった時。
慌てず対応できるでしょうか?
普通に考えて、身近に経験者がいる場合を除き、多くの人は「休職」についてそこまで詳しくないものでしょう。
何となくのイメージはある。
だけど、細かいことなんて、いざその場にならないとわからない。
きっとそんなものだと思います。
わたしもそうでした。
そこで、わたしが「休職者」になって体験したこと・知り得たことを、まとめ記事として書くことにしました。
休職生活の実態、休職生活で学んだこと、「薬に頼らない」治療の内容、信頼できるクリニックの選び方など。
すべて実体験ベースで綴っていきます。
今まさに休職すべきか悩んでいる人。
家族など、身近な人をサポートしたい人。
「休職」の実体験を知りたい方へ、どうか届きますように。
□□□ もくじ □□□
本記事について
この記事では、わたしの実体験をもとに
休職して2年弱の間に受けた
全治療内容
についてお伝えします。
このような読者の方/シーンにおすすめです。(´▽`)
- これから受診・通院を検討する方
→クリニック探しのヒントに。 - 現在通院中の方
→転院・セカンドオピニオンなど検討時のクリニック探しのヒントに。
→現在のクリニックの良し悪しを改めて考えるきっかけに。
まさかこんなに長くなるなんて
2022年1月現在、わたしは東京都内のとある心療内科に通っています。
こちらのクリニックに通い始めたのは、2020年4月から。
気づけば、通院し始めてから1年と8ヶ月・・・ずいぶんと経ちました。
厳密に言えば、初診は2019年12月。
ですから、先生と初めて会った日からもう丸2年経っています。
●【休職に至るまでの話】については、こちらをどうぞ。
休職当初は、まさかこんなに長く休むことになるなんて思いませんでした。
最初の診断書だって、「3ヶ月間」で出してもらったくらいです。
蓋を開けてみれば、3ヶ月間では到底足りませんでした。
結局何度も3ヶ月ずつ期間を延長し、現在に至ります。
今思えば、当時のわたしは
「自分はうつ病と言ってもそんなひどい状態じゃない」
「どんなに長くてもせいぜい1年くらいだろう」
と楽観していたんですよね。
自分の不調を認めていなかったとも言えるかもしれません。
わたしの兄は数年前からうつ病です。
そのため、一般の人に比べると、うつ病に対する ”慣れ” があります。
関連書籍や体験談をわりと読んでいる方でしょうね。
それらからすると、深刻なうつ病の場合は、”回復” までそこそこ時間がかかるイメージが確かにありました。
数年とか、下手すると10年以上患うケースも。
兄にしても、発症からすでに4~5年くらいは経っていると思います。
※兄は「季節性うつ」と呼ばれるタイプなので、一年中調子が悪いわけではないのですが。
読んできた体験談(たとえば『ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)
』のツレさん)でのあるあるは、「ある朝突然起き上がれなくなった」というエピソード。
幸いわたしはそんなことはありませんでした。
初診時に「軽~中程度のうつ病」と言われていたのも影響しているかもしれません。
いずれにしても、自分はそこまでひどいと思っていなかったんです。
ですが、結局は「どんなに長くても1年」を軽く超えることになりました。
当時のわたしが知ったら、びっくりしちゃうかも。(笑)
この期間が妥当なのかどうかはよくわかりません。
うつ病の治療・休職期間を平均で見たり、人と比べたりすることには、きっとあまり意味がないでしょう。
わたしの場合は「薬を使わない治療」をしていたのもあり、一般的な治療よりも長期化した可能性もあると思います。
わたしは自ら「薬を使わない治療」を希望してこの結果なので、仮に長期化したのだとしても満足・納得できています。
でも人によっては、そんな悠長にやってられないという方もいるかもしれませんね。
(少し前置きが長くなりましたが)
ではその「薬を使わない治療」とは一体どのようなものだったのか?
無事「復職可能」の診断書も出たところですので、一旦これまでの治療についてまとめてみたいと思います。
●2021年11月末に「復職可能」の診断書が出ました。
2022年1月の復職審査会を経て、中旬頃から時短の慣らし勤務が開始となります。
そこからフルタイム・残業ありの正式な復職になるのは、恐らく2022年4月以降となる見込み。
なお、復帰=治療終了!というわけではありません。
再発防止のためにも、もちろん継続です。
復帰後の治療内容については、折を見て追記するか、別記事に書いていこうと思います。
★わたしが受けた治療のすべて
わたしが休職して1年8ヶ月の通院で受けてきた治療。
その全容はこちらになります。
①診察
- 必須
- 2週間に1回/月2回
- 計44回
②血液検査・服薬
- 任意(だが特に女性は強く推奨される)
- 検査の結果、鉄・亜鉛不足のため補う薬2種を服用
- 血液検査は計4回、薬は約1年服用
③カウンセリング
- 任意
- 1回50分、5000円強
- 計22回
④リワークセミナー
- 任意
- 毎月2~3講座開催、90分×月3~4回
- 計19講座
⑤オンラインミーティング
- 任意
- 月1回、夜開催(※最近は開催なし)
- 計10回
①から⑤までありますが、
①診察
③カウンセリング
④リワークセミナー
の3つがメイン(=3本柱)ですね。
どうやらわたしは、かなり精力的に取り組んだ患者だったようです。
特にリワークセミナーは、参加しない人はどんなに勧められても全然参加しないらしいです。
先生曰く、カウンセリングやリワークセミナーを通じて自分自身とよく向き合った人の方が、再発する確率は低い傾向にあるそう。
個人的には、せっかくですから積極的に活用すると良いのではと思っています。(タダではないので無理にとは言いませんが・・・)
それでは、それぞれどのような内容であったか、具体的に見ていきましょう。
①診察
当たり前?ですが、やはり治療の根幹は「診察」です。
カウンセリングやリワークは任意ですが、診察は必須です。
2週間に1回(月2回)を目安に受診するよう言われます。
これを満たさない場合、診断書や自立支援申請用の資料?を出さない、と院内に掲示されています。
そう書かないといけないくらい、定期的に受診しない人が多いのでしょうか。。
診察時間は、わたしの場合は15分前後です。
報告ベースではなく、カウンセリングに近い相談になるような時は、15分以上になることもありました。
見ていると、早い人は診察室に入って3分もせず出てきたりします。
逆に、初診患者などの場合はかなり長めです。
(わたしも初診時は40~50分くらいかかった記憶があります)
診察時の支払額は、概ね1500円弱。(※保険適用、3割負担)
15分未満 or それ以上で料金が変わります。
また、曜日(平日 or 土曜日)によっても異なるようです。
●参考:診察時のよくある流れ
2週間に1回の診察で、一体どんなことを話すのか。
あくまでわたしの例になりますが、少し紹介してみようと思います。
まず、診察室に入ると、先生の「どうですか?」から会話が始まります。
わたしの場合は、まず体調面について話すことが多いです。
睡眠の具合だったり、息切れやめまいがあったなど。
これはPMSかなぁ?ということも、気になる症状はひととおり報告します。
その後は、たいてい先生から「気分の方はどうですか?」と振られます。
夫とのこと、家族のこと、復帰のこと、など・・・
その時々で気に掛かっていることや、心・感情が動いた出来事を話していきます。
この後半の話が長いかどうかで、15分以内に収まるかが決まります。
ちなみに、わたしが本格的に通院し始めたのは2020年4月上旬です。
新型コロナによる最初の緊急事態宣言とほぼ同時期でした。
この状況に、クリニックではオンライン診察を開始。
もともと遠隔地の方向けに細々とやっていて、範囲を拡充したようでした。
さすがに血液検査(後述)の採血日だけは通院が必要ですが、それ以外はオンラインで十分でした。
感染者数が多い時期や天気が不安な時は、オンライン診察が有難かったですね。
わたしのクリニックでは、オンライン診察にSkypeを使っています。
多少音声が乱れることはありますが、特に不便を感じることなく診察を受けられました。
コロナをトリガに、オンライン診察に対応したクリニックも多いことと思います。
(※2020年4月10日に診療報酬改定があり、初診から遠隔診療可となったはず)
専用の遠隔医療サービスを採用しているクリニックの場合、サービス利用料など、患者側にも負担が求められるかもしれません。
オンライン診察の費用も(薬の配送料など一部を除いて)医療費控除に含められるようなので、調べてみると良いですね。
わたしのクリニックは、幸い診察料金は対面でもオンラインでも同じでした。
支払いは、診察後に請求書が郵送されてくるので、郵送代込の代金を指定日までに銀行振込します。
15分程度の診察のためにクリニックにわざわざ出向かなくて良いのは、とても便利でありがたいです。
②血液検査と服薬
うつ病を始めとした精神疾患では、心身にさまざまな不調が現れます。
そうした不調を引き起こす要因の一つに、「身体の状態」が挙げられます。
たとえば・・・
などなど。
こうした身体の状態は、DSM(※)で定義されているうつ症状と同様の症状が出ることも多いです。
※アメリカ精神医学会が作っている心の病気に関する診断基準のこと。
日本語では「精神障害の診断と統計マニュアル」「精神疾患診断統計マニュアル」と呼ばれる。
そのため、問診による診断と併せて、血液検査で身体の状態を確認するメンタルクリニックも増えているようです。
わたしも、初診(2019年12月)の予約時に、直近の健康診断・血液検査の結果を持参するよう言われました。
通い始めのタイミング(2020年4月)でも、改めて血液検査をしています。
検査の結果、わたしは鉄と亜鉛が欠乏しているとのことでした。
これらを補うための薬を、数値の改善が見られるまで約1年間服用しました。
※参考までに、飲んでいた薬は以下の2種類です。
- クエン酸第一鉄Na錠50㎎「サワイ」
- ポラプレジンクOD錠75㎎「サワイ」
なお、わたしの結果は、特別珍しいことでもないようです。
多くの場合、女性は生理があるので貧血であることが多いんだとか。
こうした栄養不足状態が抑うつ症状の要因になるため、問診だけでなく血液検査も重視されるわけです。
ちなみにここで言う「鉄」とは、血液中の鉄(血清鉄)よりも貯蔵鉄の「フェリチン」が重要。
フェリチンは、健康診断・人間ドック等の一般的な血液検査では、検査項目になっていないことが多いらしいです。
また、健康診断等では「基準値」以内だと問題なしとして扱われます。
しかし基準値も幅があり、その下の方・ギリギリの場合は、実質的にはNG(健康への影響がある)ということもあります。
数値の見方・扱い方を医師任せにするのは、あまり賢明ではないのかもしれませんね。。
最後に、合計4回の結果を載せておきます。
※()内は基準値
2020年4月
- 血清鉄 97μg/dL(48~170)
- フェリチン 17ng/mL(5~152)
- 血清亜鉛 76μg/dL(80~130)
2020年7月
- 血清鉄 90μg/dL(48~170)
- フェリチン 26ng/mL(5~152)
- 血清亜鉛 74μg/dL(80~130)
2020年11月
- 血清鉄 131μg/dL(48~170)
- フェリチン 42ng/mL(5~152)
- 血清亜鉛 86μg/dL(80~130)
2021年3月
- 血清鉄 125μg/dL(48~170)
- フェリチン 44ng/mL(5~152)
- 血清亜鉛 82μg/dL(80~130)
改善が見られて、約1年間の薬の服用は終了となりました。
ただ、残念ながら生理がある限り、放っておけばまた数値は低下するようです。
幸い弱点は分かったし、数値の見方/落とし穴を知れたのも良かったです。
③カウンセリング
わたしのクリニックにはカウンセラーが数名います。
専属ではないので、各々指定の曜日のみカウンセリングを受けられます。
(わたしの担当カウンセラーは金・土曜)
カウンセリングは50分で5500円です。
健康保険の対象ではなく、自費になります。
料金は先払い制で、直前予約はできません。
変更・キャンセルもこまかく条件が決められています。
利用頻度は不定期ですが、わたしは平均すると
- 1年目は月2回程度
- 2年目に入ってからは月1回程度
という感じで利用していました。
カウンセラーと話したくないと思っていた時期や、相談するほどの内容がないなどの理由で、一度も受けなかった月もあります。
逆に、1年目の時は2週連続でやった時もあります。
集中的に取り組みたいことがあれば、頻度を上げるのも手です。
ある程度頻繁に行う方が、カウンセラーとの関係性も深くなって、より的確なカウンセリングが受けられるかもしれません。
なお、カウンセリングもオンラインでの実施が可能です。
わたしも何度かオンラインでもやりましたが、個人的にカウンセリングは対面の方が話しやすいなと思います。
オンラインだと、空気感みたいなものを共有できないので。
④リワークセミナー
「リワーク」は、職場復帰のための訓練を指す言葉です。
一般的には、模擬オフィスに通勤してPC作業を行うなどが多いようです。
わたしのクリニックで行われている「リワーク」は、そういったものではありません。
いわゆるセミナーで、内容は知識習得と集団療法の組み合わせです。
※集団療法とは?
一般社団法人 日本臨床心理士会 のページには、以下のように書かれています。
通常10人前後の小集団を対象として、参加するメンバーの各々が自分を語ることを通じて実践される心理療法のひとつです。多くは同じ問題を抱えるひとたちや、同じような立場のひとたちを集めて行われます。
自分の姿は鏡を使わないと見えません。グループ療法は他者を鏡にして自分を知り、ひとりで体験すること以上の知恵を得ることができます。
開催される講座は月2~3程度。
それぞれ週1回ペースで行われ、全3回または全4回で構成されています。
カウンセラーが講師を務めており、たとえばアドラー心理学の知識であったり、対人関係スキル、マインドフルネスなどについて学べます。
わたしはかなり積極的にリワークに参加した方だと思います。
休職してから、参加しなかった月は2回くらいでしょうか。
これまで受けてきたリワークについては、別途まとめ記事を作る予定です。
⑤オンラインミーティング
最近はめっきり開催されなくなりましたが、以前は先生によるオンラインミーティングがありました。
だいたい月1回、夜に2時間程度の会でした。
先生がファシリテーターとなり、参加者同士でテーマに沿って意見交換をしていきます。
正式な「治療」ではありませんが、これも集団療法の一種と言えるでしょう。
結構フリートークな感じもありましたが、たとえばこんなテーマがありました。
- 職場/社会復帰について
・どうすれば復帰できるか/どうなれば復帰していいか
・復帰後はどんなことを意識して過ごしていくべきか- なぜ人と比べるのが好きなのか?
・どうして人と比べてしまうのか
・どういう時に人と比べてしまうか
・なぜ・いつから人と比べるようになったのか
・人と比べることで何が起きる/どんな結果になるか- 本当の私ってなに?
・できるけどやりたくない、でもやるべき?」
・できない、でもやらなくちゃ!
・今しているのは、本当にしたいこと?- 「卒業生」の体験談を聞こう
・このクリニックに来る前まではどんな人間だったか
・どんな出来事がブレイクスルーになったか
・どんな変化があったか(ビフォアアフター)
同じ「休職者」や「メンタル不調」という境遇にあっても、年齢も仕事も成育環境も休職理由も・・・人それぞれです。
議論の中身そのものも意味がありますが、正解を見つける場ではありません。
同じ質問やテーマに対して、いろんな立場や視点や価値観から話が聴けるのが、本当に良い機会になりました。
「人それぞれ」「人によって違う」とよく言うけど、実際にそれを実感・体験できるのって、実はとても貴重なことだと思います。
これが無料だったのは有り難かったなと思います。
先生がご多忙なのか、もうずっと開催されていないですが、いつか復活してくれたら嬉しいなと密かに思っています。
まとめ
わたしが受けてきた治療内容、いかがだったでしょうか?
きっと同じ「うつ病」「休職者」であっても、治療内容は人・クリニックそれぞれで全く違ってくるものと想像します。
わたしの場合は、「薬を使わない治療」が前提でした。
必然的に、カウンセリングやリワークの比重がとても大きくなりました。
一般的には、休養+服薬(抗うつ薬等)が中心ということが多いんじゃないかと思いますが・・・どうでしょうか。
なお、わたしの受けた治療が「絶対」とか「正しい」、あるいはこれなら「成功する」と言うものではありません。
人によって、合う合わないがあると思いますし、ご事情も違うと思います。
ひとりのリアルな体験談として、あくまで参考として捉えていただけたらと思います。
最後に、それぞれの記事一覧のリンクを載せておきます。
ではまた。
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◎自己紹介もご覧ください。(´▽`)
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